「B29の行方」と言う本を読んだ。作者は花木深…銀行に勤めていて退職後これを書いて応募したようだ。
読み始めた最初からテレビのドラマを見ているような…臨場感とでも言うのだろうか、とても引き付けられて読み進められた。
しかもそれは、私の中で鮮やかな色に着色され、しかも場面によっては文章ではそう書いてないのに語っている登場人物の顔がズームになったりと千変万化だった。
それは誘拐事件を軸にしているのと戦後を生きてきた人々だからと言うことで共感を呼ぶのかもしれない。
私たちの世代には忘れられない誘拐事件があるから。
元々、サントリーミステリー大賞と言うのを取った作品らしくドラマ化もされていたが、見てみたいと思って探してみたものの、なかなか辿り着けない。
原作は「B29の行方」だが、ドラマでは「秩父夜祭殺人事件」となっている。
サントリーミステリー大賞も2003年で終わっているし、放送はテレビ朝日系列ABCテレビらしいがドラマ自体を見ることはできないようだった。
どういうわけか、テレフォンカードやビラというのかパンフレットらしきものが売りに出されており、出演者を見ても結構な力を入れていた様子がうかがえる。
詳細をテレビドラマデータベースでやっと見つけたものの誰が何の役かは想像するしかなかったが、出演者は植木等・佐藤慶・井川比佐志・田村亮・山口果林・吉行和子・藤田まこと等でこれを見ただけでもかなり見応えがありそうだし、およそ最初の三人が幼馴染の三人だろうとパンフレットの画像から推察できる。
そもそも読むはずのなかったこの本になぜ辿り着いたかと言えば、山口果林著の「安部公房とわたし」を読む機会があったから。そこには1992年に出演と書いてあった。
原作の「B29…」の方では妙に艶っぽい女性が出てくるが、それが彼女だったかどうか私にはわからない。
そして、その「安部公房とわたし」をなぜ読むことになったかと言えば、ヘアヌード写真が冒頭に掲載されているからと言う理由からだった。(今は本を探さなくてもネットで見ることができるのだったが。)
ミーハー的と言われればそれまでだけれど、彼女が何故そんなプライベートな写真を本に載せたのだろうとも思ったからで…彼女は齢70を超え、私はまだ年齢が届かないが、そう言った心境がわからないでもない。すべてを曝して区切りをつけたいのかとも感じたのだった。