私の中の父は「ああしてくれ、こうしてくれ」と欲求の多い人だった印象で、あれが食べたいとか、好きな洋服を着ては、これはどうだろうとか…聞いてきた記憶がある。
そんな折り、お彼岸に妹の家族とお墓参りに出掛けた。
するとそこで、妹から父ではなく弟の方から私に「何か言いたいことがあるみたい。」と言われたのだった。
妹の話しによると、娘の進学に関して最近評判の霊能者さんのところに伺おうと予約を入れたらしいのだが、大変混んでいて予約が取れたのは受験が終わってからになってしまった。キャンセルするのももったいないので他の事を聴きに行ったらしい。
すると、そこで何より先に弟が現れたそうだ。
そして、私に何か言いたいことがあるみたいだから聞いてあげて…と言われたらしい。
聴いてあげてって言われても…この世の人でもないのにどうやって聴けばいいのか、私にはわからなかったけれど、妹も私なら聴けるでしょ…的な感じで伝えただけだった。
弟の方は元来おとなしい感じだったし、言葉を話し始める3歳にもならない内に亡くなったので、おしゃべりなイメージが付く訳もないのだが、父の方は仏壇に向かって手を合わせていても向こうの世から何か言っている気がしてはいた。
だから、てっきり何か言いたいのなら父の方だと思っていたのだけれど。
ただ、思い当たるのはコロナワクチンのことだった。
私の周りでも…世間でも、7月辺りがワクチン接種のピークだった気がするのだけど。
私はと言えば、アレルギーもあるし得体のしれない初めてのタイプのワクチンをすんなり受け入れることもできないし…絶対受けない!って訳ではないけれど、もうちょっと様子を見てからと思っていた。
そして、第5波もピークを過ぎ、波が落ち着いた頃になって予約を入れた。
すると、確かにその辺りから仏壇のザワザワが消えて行った気がした。
(父が心配して早くワクチンを打てと言っていたのかも…と、思っていた。)
娘にその話をしたら…
弟は遠くに行くので「お母さんから離れなきゃいけないみたい」と言われ驚いた。
以前から妹にも、以前別の霊能者さんのところでも弟がくっついていると言われたことがある。
今回、娘からも弟は私の事が好き過ぎてずっとついている、と言われたのだった。
娘の話しによると…
前世は二人は夫婦で仲良く暮らしていたそうだ。
頃は明治か大正か(私は昭和初期くらいかなと思っている)で。
今世で弟が早くに亡くなったのは、私に早く会いたいために、まだ生まれてくる準備がちゃんと整わない内にこの世に出て行ったからだと言うことだった。
「でも、今回は私と離れて遠くへ行かなければならないのでそれを伝えたかったみたい。」
弟のことは小さい時に一番身近にいて、大事に思っていたので居なくなった時はとてもつらく悲しく、20歳くらいまでは引きずっていたように思う。
久しぶりに閉じ込めていた感情が…
つらく悲しくではなく、淡く優しく心に広がって行った。
そう言えば…お彼岸明けは弟の誕生日だった。
それに、生きていれば今年で還暦だったんだわ…と
こんな話があった後になって、気が付いたのだった。
還暦とは、生まれた時の干支がひとまわりして
元に戻る節目みたいなものだから…
それなら、何だか遠くに行くと言った意味もわかるような気がする。
(そうそう、家の中の変な音は今はほとんど聞こえなくなりました。)